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自動車道路をただ一人走り続け転んでも立ち上がりを繰り返しながら我武者羅に走り続けた。
足小僧はもう血と石でボロボロだった。
角道に差し掛かり、知美は角を曲がろうとすれば多くの黒い集団がバラバラに散らばり辺りを見渡していた。
知美はバクバクとうるさくなる心臓を押さえながら引き返すが引き返した先にも黒い集団はいて完全に挟まれている状態だ。
知美は近くにあった建物の中に入り階段を一気に駆け上る。
いつもより体が軽く感じるのはなぜかと不思議に思いながらも、知美は屋上まで登ると階段を駆け上がる複数の足音が聞こえ、急かされるように知美は近くにある隣のビルの屋上へと助走をつけながら飛び込んだ。
「うわっ 怖っ」
幸い隣のビルはそう遠くなく簡単に乗り移る事ができ知美はすくみ上った足を無理やり立たせビルを渡って行く。
「なんで私がこんなめに」
一度ビルの影に隠れながら立ち止まると視界がぼやけてゆき涙が知美の瞳から溢れて出る。
止めどのない涙を拭おうとすれば手に違和感を覚え視線を手に移せば、
手の甲には人間にあるはずもない黒い鱗が生えてきていて、爪は猫のような鋭いものへと形を変えて異常な伸び方をしていた。
その様子に知美は言葉を失い、溢れるように出ていた涙はいつの間にかカラッカラに引いていた。
「や 何これ やだ やだ ママ!何これ怖いよ!」
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