ラストバトル回

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▽ 東京。とある場所の、とある会議室。 そこに集まったのは錚々たる面々だった。 総理大臣に始まり、防衛大臣、陸上自衛隊トップ、海上、航空自衛隊トップなど。 マスコミがこの光景を見ると、大きな動揺を生むと思われた。 そんな彼らが座った長机。会議室の入り口付近に、黒影の穴が空いた。 「遅い。いつまで待たせるつもりだね」 恰幅のいい何某大臣が吠える。 しかし、穴から出てきた男は薄く笑っていた。 「申し訳ありません」 「ふん。まぁいい......それで、今日はどのような要件かね」 「はい。今日は、私が開発した〈デーモンコア〉について──」 「──くどい!」 その単語を聞いた瞬間、机を拳で叩きつけた男。引き締まった体と太い眉。航空自衛隊のトップだった。 「伊吹さん。日本にはね、〈非核三原則〉ってのがあるんですよ。『核兵器を、持たず作らず持ち込ませず』。あんたのそれは、明らかにそれを違反している!」 「これは核兵器ではないですが」 「同じことだよ......核兵器を許さず、核兵器以上の威力を持つ兵器を許す理由がどこにある」 「そうですか、残念です」 そう呟いた男は、しかし言葉とは裏腹に対して残念がってはいないようだった。 「まぁこうなることまでは予想していました」 そう言うと、男は何故か、サムズアップをする。 「何をしてる」 奇怪な男の行動を訝しんだ大臣達だったが、 「動くな。私は、この世すべてに爆弾を仕掛けた」 この一言で凍りついた。 大臣達は知っている。言語世界という、手の出しようがない別世界があることを。そして男は二つの世界を自由に行き来できることを。 大臣達は知っている。〈aid.0(エイド・ゼロ)〉又の名を〈虚構霊装(ミュート)〉という、絶対防御、瞬間移動能力が存在することを。 そして大臣達は知っている。彼が作った爆弾は、星一つ滅ぼす力があることに。 誰一人、動かない。 ただ顎先から落ちる汗が長机を叩く音だけが響く。 今確かに、脅しではなく全人類が人質に取られていることを確信した。 そして男のサムズアップは、爆弾のスイッチを表していることも。 「要求は......」 口を開いたのは総理大臣。額には玉のような汗。 「要求は一つ。この兵器の存在を、明日の世界サミットで公表。そして同時に、日本はすべての戦争を憎む国。〈永世介入国〉になったと公言しろ」
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