ラストバトル回

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「〈永世介入国〉、だと......!?」 「ああ。仕掛けた側も、受けた側も。〈戦争〉という行為をした国、組織のトップを、それらが持つすべての軍事力ごと爆破する。例外はない。核を使おうが使うまいが、銃器を使おうが使うまいが、〈戦争〉ならば、すべてが対象だ」 思わず立ち上がった防衛大臣。 「〈戦争〉をした国をすべて裁く、神にでもなるつもりか!伊吹!」 「神?冗談。神は戦争を失くさない。俺は人間ですよ。〈戦争〉を恨む、ただの人間だ。だがそんな、ただの人間が産み出した兵器が、『戦争をすれば滅ぼされる』という〈戦争抑止力〉となれば、それでいい」 歯軋りする防衛大臣。顔に青筋を走らせ、体を震わせているがしかし、歪んだ笑みで起爆装置(たてたおやゆび)を振る男に何も出来ない。 「今俺は全人類を人質にとっている。拒否権はないぞ」 ▽ 「司令!」 変わらず薄暗い司令室に、飛び込んできたのはミコト。 彼に手を引かれているのは、偽物の爆弾魔ヒツジ。 「ユウキが拐われた!場所もわからない!攫ったのは──」 「──落ち着け。すべて把握している。......まんまとしてやられたな。まさか彼が爆弾魔だったとは」 諏訪は握っていた書類をグシャリと握りつぶす。 「それは?」 「ああそうだ。今、大変なことになっている。伊吹さ......伊吹が総理大臣達と接触した」 「なっ、目的は!?」 諏訪はミコトに書類を渡す。 それに目を通す間、彼の隣で俯き、黙ったままの少女に諏訪は優しく語りかけた。 「渡邊ヒツジちゃんだね?」 「は、はい......」 「すまない。俺はすっかり騙されていて、君を憎んだ。君も、とても辛かっただろうに」 しゃがみ視線を合わせ、大きな手で頭を撫でる諏訪。 ジワッと彼女の瞳が潤み、しかしそこから雫が落ちる前に袖で目を擦る。 「......ありがとう、ありがとうございます」 「君はまず医務室に行ってくれ。〈言霊濃縮剤〉を出来るだけ抜いておきたい」 手の空いていた職員が彼女を連れて司令室を出て行った後、ミコトは口を開いた。 「〈永世介入国〉か。要するに〈戦争を取り締まる警察〉的役割を担う気なんだね」 「ああ。滋賀サミットまで後16時間だ。それまでに奴をどうにかしないと、日本は世界にとんでもないことを公表することになる。それこそ、〈爆弾発言〉をな」
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