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その時、司令室のドアが開き、スズリ、ナタリア、コトハ、そしてラストが入ってきた。
「ラスト......!?何故いる!」
「ふん。大事な仲間を救った女に、そんな口の利き方するのね」
ツンと拗ねたようにそっぽを向くラスト。
「俺の言霊量が尽きかけた時に、俺に言霊を分け与えてくれたんだ。そのおかげでシダユリとオガユウは、もう大丈夫だよ」
庇うように言ったスズリの言葉に、諏訪は安堵の表情を浮かべる。
「そうか......!感謝する、ラスト。仲間を救ってくれて」
「......別にいいわよ。結局頑張ったのはこの子なんだから」
ポリポリと頬を掻きながら言った彼女に、「ツンデレやわ......キャラ移ったんとちゃう」とコトハは呟くのだった。
▽
「これから、伊吹を止めに行ってもらう」
数分後の司令室。
各色のスーツケースを持った四人と、少し離れたところに腕を組み立つラスト。
それらに向かい合うように立つ諏訪は、重い声で続ける。
「タイムリミットは3時間。それ以内に、なんとしても奴を止めなくてはならない」
さもなくば、世界が大混乱に陥ると、皆分かっていた。
「そしてユウキが捕まっている。スズリの話を聞く限り、記憶を消されて奴の元にいる可能性がある」
ギュッと、拳を握ったナタリア。
「司令!爆弾魔、伊吹信元を倒し、ユウキを奪還せよ!」
「「「「了解!!」」」」
▽
「アタシも行くわ」
ゲート前で、ラストが言う。
「え、どうして!?」
「言語世界で人間がいい気になってるのが気に食わないだけよ。......別にオガユウを傷つけた御礼参りに行くわけじゃないわよ」
「ああ分かった全て分かった了解だ」
「何よその顔馬鹿にしてんの!?」
叫ぶラストの前で、ゆっくりとゲートが開いていく。白青の光が漏れ、突風が体を叩く。
ゲート整備員のヘルメットのおじさん達が、スズリ達に向けて敬礼をしていた。
「ユウキ君を、世界を頼みます」と聞こえた。
「行ってきます!」
笑ってそう叫び、五人は光の中へと走る。
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