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そう言うと同時、ミコトは、天から降った光の柱に身体を焼かれた。
「っ......うおっ!?」
柱は地面へと吸い込まれるように消え、地面を抉る大爆発を起こした。
地を穿った光柱。爆発。地を抉り飛ばし、小さなクレーターを作る。
「ふむ。対人用に弱めたものだったが、これでは周りに被害が及んでしまうな。調節は難しい。どうせなら......」
伊吹は目線をバッとコトハの方に向ける。
彼女は今詠唱を終えて、背後に黒の大軍を従えていた所だった。
「全軍撃──」
「──どうせなら、軍隊に向けて撃ちたいものだ!〈マシンガントーク〉!」
一斉に砲口を伊吹に定めた黒の軍に、降る光柱。
一体半径は何メートルあるのか。しかしコトハが呼び出した何千という兵器、兵士は全て、その光柱中に収まった。
地面に吸い込まれた光柱が、爆発。
立っていられぬほどの振動と、鼓膜を破りに来る爆発音。少し遅れて襲い来る暴風に、コトハは吹き飛ばされた。
地面を転がり、顔を上げると少し先にはクレーター。
いや、彼女は学校で習った『盆地』と言う言葉を思い出していた。
東京都ドーム一個分など彼女にはわからなかったが、ここから窪みを挟んで向こう側まで、軽く200メートルはあるだろうことがわかった。
「うちの軍が、一瞬で......!!」
首元までヒビ割れたコトハが呻くように言う。
「〈デーモンコア〉から放たれるレーザーは、何兆度というエネルギーを持つ。地中で拡散されたそのエネルギーは、あらゆるものを消し飛ばす爆発となる」
次に光柱が降ったのは伊吹の上。
しかし爆発は起こらず、代わりに、彼の右手人差し指に光が集まる。
そして手で銃を作った。人差し指を前へ、親指を上へ。
「詠唱省略。〈懐かしき指爆弾〉」
唱えると同時、銃口から放たれる光の弾。
倒れ伏したコトハへと向かう。
「させない......!〈四点虚界門〉!!」
光弾を遮らんと建つ黒壁。バチと激しい火花を散らし、放出と吸収が鬩ぎ合う。
「ほう。〈言語の壁〉。〈片手間爆弾〉を止めるか......だが」
僅かに驚いた顔をした伊吹だが、次の瞬間にはニヤリと笑う。
「друг друга слишком сильное.(相手が悪い)」
「えっ......?」
伊吹が発したのは『ロシア語』。瞬間、黒壁はガラスが割れるような高音を発して瓦解した。
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