ラストバトル回

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問いかけ。 投げかけられた言葉と共に、一本のナイフが投げられた。 刃先はこの胸を真っ直ぐに狙い、爆弾(たいよう)に照らされ鋭く光る。 ゆっくりと時間が流れた。 彼の言葉が頭の中で響いた。 『届くか』 頭の中で、誰かが言った。 ──お前、『僕は人を傷つけたくない』って泣いてる奴の〈言葉のナイフ〉が、本当に刺さると思ってんのか? ──『死ね』って言われようが、何を言われようが、『そんなこと言いたくない』って思うことを理解してあげていたら、そうして悩んでいると知っていたら、言葉のナイフ(そんなもの)で傷つきゃしねぇよ! 聞き慣れた声だ。 そう、これはオレの声だ。 今、ゆっくりと近づくナイフが、『無くしてしまった何か』をくれそうで。 ▽ 響くのは、甲高い破砕音。 まるで脆い硝子細工のように砕け散ったナイフが、胸元に散る。 「............刺さらない」 ユウキの口から溢れたのは、答え。 自分でも呆然と、無傷の自分の胸元を見て、呟く。 「......刺さらないよ」 自分でも、理解できていないような喋り方だった。 「しまった!」と伊吹は叫び、慌ててユウキに駆け寄る。 「ナイフ......〈言葉のナイフ〉。スズリ......スズリ......!?」 曇った瞳が僅かに取り戻す輝き。 「スズリ。スズリだ。君の名前は、刀道スズリ。なんだ......くそっ、頭が痛い!痛いよ!」 「ナタリア」「コトハ」「ミコト」「諏訪さん」「メカニック」「シダユリ」「オガユウ」「言語世界」「キャスター」「キャンサー」 溢れる言葉。まるで泉のように湧き出す。止められない。 「ユウキ!やめろ!思い出すな!」 伊吹がユウキの肩を揺するが、止まらない。 「アーマー」「詠唱」「虚構世界」「ゼロ化」「七つの大罪」「神器」「DC5」「レイ」「エン」「ツツミ」「ケン」「言霊濃縮剤」「誘拐」「爆弾魔」「爆弾」「爆破」 「やめろ!真一の記憶まで戻ってしまう!悲しいだけだ!辛いだけだ!思い出すな!ユウキ!」 ──「父さん」 「おうユウキ、おはよう」と眠そうな父。 「ふぁぁ、おやすみ」と眠そうな父。 「すごいなユウキ!一等賞か!」頭を撫でる。 「ユウキ。ちゃんと謝りなさい」真剣な顔で怒る。 「ふはは!父さんに勝とうなんて五億年早いわ!」ババを引かせて高笑いする。
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