私の催眠術師君

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私の催眠術師君

「誰でもできる催眠入門」なんてベタなタイトルだけど、今の俺にはバイブルそのもの 先輩はもうすぐ卒業してしまうし、早く覚えて俺のことを好きになってもらうぞ! 告白なんて到底出来ないヘタレの俺だけど、先輩が好きになってくれるなら付き合える! と言って覚えてみたものの、なかなか「催眠術かけさせて下さい!」なんて言えるわけないよなぁ… ちゃんとかけられることは弟で確認済みだし、あとはきっかけとタイミング…なんてものは来ないよなぁ… そんな度胸があったらとっくに告ってるし… なんて部室で一人その催眠の本を読みながらウジウジしてた。 今日は試験期間中だから部活は休みで誰も来ないんだけど、昨日忘れた弁当箱を取りに来てそのままダラダラ。 まあいいや、便所でも行って来ようっと… 「あ、おかえりー♪」 って先輩いるし! てか本を置きっぱにしたから俺のだってバレてるし! 詰んだ… 「せ、先輩!なんでいるの?」 「帰ろうとしたんだけど、部室棟から君が出てくるのを見かけてさ。何かあるのかな、と思って来てみたんだ。 ていうかさ、これ君のだよね?ねぇ、催眠術かけられるの?」 まさかの食いつき!これはもしかして大チャンス! 「はい、一応かけられますよ」 あなたにかけたくて覚えました、なんて言えないけどさ… 「じゃあさ、私にかけてみてよ!かかってみたい!」 マジか?マジなのか!?これは夢じゃないよな… 「はい、いいですよ」 めっちゃ心臓バクバクなんだけど、なるべく冷静に返事した…つもり。 ちょっと声が裏返ったかも… 「あ、でも私に催眠かけて変なことしないでよ~w 君ってなんかむっつりスケベっぽいしさ~w」 「そ、そんなことしませんよ!」 好きになってもらうのは、変なこと(=スケベなこと)じゃないよな…多分 でもこのチャンスを逃してなるものか! 俺、多分今人生最大のチャンス到来です!
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