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『無駄だ。それを渡して退()け』 「聖ルカのことか? こいつらはボティスの女。 つまり俺の物だ。お前などに やるものか。 泰河。俺の肩に手を置け」 だいぶ煙を上げながらでも、片腕のジェイドの肩は離さず、自分の後ろに 泰河を回らせて 肩に右手を置かせる。 ラテン語の呪文を唱え出すと、陽炎の中の手に 心臓が握られた。 『何を... 』 陽炎のそいつが 急に焦り出す。 「魂だ、モレク。いや、(バアル)・ハダト。 ぺオルのバアル、バアル べリト、バアル ゼブル。 どの(バアル)も強力だが、お前程 凶悪ではない。 俺は お前の魂ではなく、お前が取り入れてきた 人間の魂を掴んでいる。力の(みなもと)を。 俺を “堕天使” と呼んだな? お前は何だ? 元より堕ちた神は何と呼ぶ? お前は、俺に劣る。抜けられるものか。 俺は皇帝(ルシファー)だ」 「口上(こうじょう)は いいから、早く喚べよ」 ミカエルが剣を向ける。 『喚べ? まさか... 』 「そう。俺にしか喚べんのだ。 奴は人間に使役などされん。魂は奪うのみ。 根っから悪魔だからな。 お前と分かれた大悪魔(サタン)。“ベルゼブブ”」
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