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「珈琲」 ソファーで炭酸水飲んでたボティスが 寝起きのオレに言う。 隣のベッド見たら、泰河がまだ寝てやがる。 めずらしくオレん家なんだよなー。 秋になっても、庭のミントはまだ健在。 冬に枯れても 春には芽吹きやがるしよー。 「珈 琲」 「わかったって もう。うるせーなぁ」 なんだよ、片足ソファに乗せて テレビとか観ながらさぁ。 もうちょっと転がりてぇなー とか思ったけど 渋々ベッド降りて、手だけ洗って サイフォンセットする。 顔洗いに行って戻ったら、ムッとした顔の泰河が 入れ替わりに洗面所に入った。起こされたっぽい。 今日も寝グセ付いてやがる。 カップ用意してたら、またムッとしたままの顔の 泰河が戻って来て、ボティスの向かいにドサッと座った。 もう、あれから 一週間。 一の山の地面の でかいヒビは アバドンの奈落だっていう。 『正しくは、奈落の入口や出口という訳ではない。 地上が奈落と繋がったということだ』 シェムハザが厳しい顔で言ってたけど 例によって、オレらは よくわかんねー。 実際は、奈落自体もよくわかんねーし。
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