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「こいつは、あの異教の悪神だぜ?! どうするんだよ!」 「何も通用せぬから、天が 奈落に閉じ込めたのだろう? どのようにして それを成した?」 「天じゃない! 地上から信仰が薄れた時に アバドンが引っ張りやがったんだ!」 ミカエルでダメって 何だよ? じゃあ、ゾイもジェイドも無力だ。 そんなヤツ、どうも出来ねぇんじゃ... そいつは、ぼたぼたと何かを落としながら 一歩こっちに歩を進めた。 落としてるのは、(いなご)だ。死んでるような落ち方。 草を食い荒らしてた蝗の方が、何匹も そいつに飛び付いて 吸収されていく。 この蝗は、こいつの 一部だ。 さっきは 空に拡がって行った。地上に侵食を... 喉が鳴る。気持ち悪い以上に 怖い。 なんでこんなヤツ、生贄捧げてまで 崇拝したりするんだ? 膝が震えないように、なんとか耐える。 「... 助けて くれ」 蔵石はガタガタ震えて、歯を鳴らした。 恐怖が伝わってくる。 「たのむ なんで も する」 そいつがまた 一歩近付くと 蔵石は涙を流し出す。 『... 匂う』 うっ と、泰河が息を飲む。 そいつはイキナリ蔵石の真後ろにいた。
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