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「いけるぜ」 朋樹が 呪の赤蔓を地面から伸ばし そいつを足元から 拘束していく。 赤蔓は、膝の辺りを越えるまでに 煙を出して 消えていくけど、足が実体化してきた。 長い何かを穿いてる。 そいつの顔が朋樹に向いた時、ミカエルが 左手の秤をボティスに差し出しながら 右手を後ろに伸ばす。 伸ばした手に、さっき飛ばした(つるぎ)が収まり ボティスが秤の片方を押し下げると ミカエルは、蔵石の首を刈った。 身体が どさりと倒れ、首が落ちて転がる。 朋樹が式鬼札を手のひらに乗せ、一気に吹くと 炎の蝶たちが、陽炎のそいつを取り巻き オレが風で巻き付けると、炎の中に そいつが 実体化して見えた。 青黒い肌。上半身には何も着けてない。 下半身は法衣のような形のローブ。 顔には、長い二本角の牛の頭骨を被っていて 頭骨には額を中心に、何か文様が彫られてる。 草むらから、黒い何かが飛び出すと 空中で浅黄になって 炎の中の そいつの肩口から、薙刀を突き立てた。 取り巻いた炎の蝶と風が消えても そいつは陽炎に戻らず、実体でここにいる。 ハティが そいつを掴もうと手を伸ばしたけど 手は空を掴む。 なんで、悪魔や天使には触れないんだ? 「今 一度... 」 浅黄が薙刀を掴み、引き抜こうとした時 そいつは突然オレの前にいて、手を伸ばして来た。 薙刀は抜けて、また青黒い肌の身体が揺らぎ出す。 後ろからジェイドがオレを引き、(つまず)いて転ぶと ボティスが 庇うように前に立った。
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