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今、キュべレの牢で眠っているのは レナという預言者だ、という... 『“天に昇らせる”、ってさ... 』と 泰河が憤るが、オレもカッとした。 『“サンダルフォンは天使だ” って 言ってたじゃねーかよ!』と まだ肩にあったミカエルの腕を払い除けた。 “レナを悪いようにはしない” って... 『ごめん』 ミカエルが、オレらに謝って 『俺も信じたんだ』とか言うから もう何も言えなかった。 『何故、キュべレを 天から出せた?』 ボティスが聞くと 『エデンの無花果(いちじく)だ』と ザドキエルが答えた。 『エデンの善悪の実は、林檎に換えられた。 だが、アダムとエバのように 生身でエデンにいる者が手に取ると 無花果になる。 いつか、人間に楽園(エデン)を返したいという希望を込めたものだ。 すべての者が、エデンで暮らせるように と』 だけど、聖父はまだ 人間が楽園に入ることを禁じている。 身体を伴ったまま、エデンに入れるような者は いないはずだった。 泰河は、入ってしまった。生身の身体を伴って。 そして、無花果を食べたことは 再び “罪” となって、地上に 一つ星が落ちた。
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