1/8
612人が本棚に入れています
本棚に追加
/295ページ

パン! と、音を鳴らす勢いで ボティスは雑誌を両手に挟んで閉じた。 真顔だ。ジェイドまで。 「む? 何故?」 榊はソファーの背凭れの後ろから 二人の肩に手を置いて、間から顔を出し ボティスが挟みっぱなしにしている雑誌に 切れ長の眼をやっている。 「日本の古い書物を選ぶのを 手伝ってもらった」 ハティが軽く両手を広げて言うけど ボティスは まだ真顔だ。 「... “何故” と、聞いたか?」 泰河が俯いて笑う。やめろ。オレも笑うし。 「ふむ」 「榊」と、ジェイドも真顔のまま首を動かし 榊を見上げ「座るかい?」と 逃げやがった。 ジェイドが立つと、榊がソファーに正座して ボティスの方に向き 「して何故?」と 、残酷な質問を重ねた。 ボティスの でかい手に挟まった雑誌に 細い指を入れ「これは、良い紙を使うておる」と 中を覗こうとする。 「()せ」 ちくしょう、おもしれぇ。 正面向いたまま、ゴールドの眼だけ動かしやがった。朋樹がオレの隣に沈む。アウトだ。 「むう。見せるが良い。 お前が心底、楽しそうであった故... 」 刺されやがった。眼ぇ閉じてやがる。 共犯のジェイドまで 片手で口元を覆って笑う。
/295ページ

最初のコメントを投稿しよう!