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当日。
いつもの駅前で待ち合わせた。
その駅前にも、大きなツリーが飾られていて、街は着飾ったようだった。
あたしはいつも、待ち合わせ時間の10分前に着くようにしてる。
彼を待たせたくないから。彼を待っていたいから。
待たせるくらいがいい女だ……とか、聞いたコトはあるけれど、それって相手を思いやって無いよね。
待ってるのって、ツライと思うよ?
夏だったら炎天下で、暑さにめまいを覚えながら待ってるかも知れない。
冬だったら寒空の中、冷たい風に凍えながら待ってるかも知れない。
大事な彼に、そんなツライ目に合わせるなんてヒドイ事、できないよ。
だからいつも、10分前に着くようにしてるんだ。
でも24日は、彼の方が早かった。
ちょっとびっくり☆
大幅な遅れではないにしろ、いつも若干の遅刻で現れるから。
「珍しいじゃない? そんなに早いなんて」
後から到着したあたしが声をかける。
にっこり微笑んで、彼が立ち上った。
「お! 来たな~。
んじゃ、行くか~」
陽気に言って、彼は腕を差し出す。
あたしはその腕に、そっと自分の腕をからませた。
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