第1章 鏡の中の世界

8/9
前へ
/37ページ
次へ
大広間は天井が高く、壁には大きな鏡が何枚も飾られている。そして上座の装飾された椅子に、その主人は座っていた。 「ようこそマヌカンへ。わしはロウと言う」と老人型マネキンが僕に語った。 ここマヌカンには、国家を治める王がいる。その王の名前はスウェイデンと言った。 誰もが信頼を寄せる王であるが、その王の座を奪おうと目論む反乱者がいるらしい。 どうやら王室の内部にいて、マヌカンの源である、" ホーム"を狙っているそうだ。 そこで王の側近であり、知恵袋のロウがそれを探るよう命じられたのだ。 「その " ホーム " って何ですか?」僕は訊ねた。 「うむ。" ホーム " と言うのは、最古のものと言われる木彫のマネキンじゃ。何世紀も昔に、ある傀儡子から作られたと伝えられる。そしてある時、その " ホーム " に魂が宿り、このマヌカンが誕生したのだ」 「でも、僕と何か関係があるの?」そこが問題だ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加