2.

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 部屋にうららを通して飲みものを取ってから戻って、とりあえず二人で一休み。夏は外を歩くだけでも体力を奪うから堪ったもんじゃない。寝不足には特にきつい。冷えた部屋の心地よさときたら力が抜ける程だ。  うららもどうやら疲れたのか、それとも緊張して眠れなかったとかか、ベッドに寄りかかって大きな欠伸をかまして、それが俺に移った。欠伸をしたら眠気が一気に襲いかかってきやがった。 「で、どうすんだよ……」 「スゲー眠そうだな」 「なんでだろう、ハルアキの匂いがするからか、落ちつぃちゃった」  そんなことを眠そうな顔で微笑んで言うのはずるい。ちょっと眠気飛んだ。  脱水になるのは怖いから一杯だけ飲ませて机にコップを置いて、俺も限界だからうららの横に座った。 「じゃあほら、始めよう」 「なんだぁ、その手はー」 「手をつないで眠れば同じ夢を見られるはずだ」 「ほんとかよぉ」 「ふあぁ……。とりあえず、試そう。ほら」 「ん」  子供のように熱を持った手を握ると、熱が移ってくるようで一気に頭がぼんやりしてしまう。意識が飛ぶ前にベットからタオルケットを引っ張って、二人で軽く腹のあたりにかけて準備万端だ。  全く、横でそんなに安心して寝ておいて、何が抱けよだよ。  ああまずい、気を抜いたら限界だ、もう飛ぶ。 ○  瞬きをしたら来た記憶のない場所にいた。  頭が状況を処理するのに少し時間がかかる。さっきまで自分が何をしていたのかを思いだすのに苦労したが、一度似た状況を味わっているおかげで、混乱はせずに済んだ。  さっきまで俺はうららと部屋にいて、部屋で寝たはずだ。なのにここにいるということは、つまりここはあいつの言う通りなら、過去ということか? 「よっ! 遅かったな」  後ろから跳んで現れたのはうららだった。 「ここは本当に過去、てことなのか? 実感ないけど」 「まー手っ取り早いのはどっかで日付を見ることだな。まあ今この瞬間に絶対的な違和感なら感じられるぜ?」 「違和感って?」  うららが両手を俺に向かってパタパタさせ始めると、冷たい空気が肌に当たった。 「寒いな」 「夏じゃないっぽいからな。下手したら風邪ひいちゃうぜ。だからこのタオルケットはナイスだったわ」 「異様さがすごいな」
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