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髪留めで落ちないように留めているから、まるでファンタジー世界の外套みたいだ。俺は結局寒さを免れないが、まあいいだろうこれくらいならなんとかなる。
それよりも、何故俺が寝る前にかけたタオルケットが今ここにあるかが問題だ。
「なんでそのタオルケットがあるんだ」
「身につけてる物は持ってこれんだよ、ほれ」
「肌身離さずお持ちなのね」
「過去に戻る時は特に持ってないとな」
「なんでだよ」
「使うかも知んないだろ?」
「いや限りなくゼロだと思うけど」
というか結構それ大事なことなんだけど、なんでこの前言わなかったのこいつ。過去で何か落としたりしたら大変じゃねぇか。身分のわかる物何か持ってきてたりは、しないな。落としても一緒に戻るとは限らないし、過去でやったことが消えないのならその場に残ってしまう可能性の方が高い。結構気をつけないとやばい気がする。うららはなるべくしてなるみたいなこと言ってたけど、それにしたって不安要素は最小限にするにこしたことはない。犯罪をするわけではないけど、用心は大事。
落ちついて周りを見回してみると、何処となく見覚えがある気がする。ここは、地元か?
「うらら、ここが何処かとかわかるのか?」
「わかんね。あたしが自由にできることは何一つないからな」
「てことは何時かもか。やっぱり謎だな。なんでそんな能力が」
「過去に戻れたことは信じんの?」
「まあほぼな。今からコンビニ行って確かめるけど」
近くのコンビニを探して歩きまわることになりそうだったけど、運よく適当に歩いていったらすぐに見つかって、雑誌の発売日を確認して確かに過去だということを確信した。コンビニを見て確信したが、この辺はやはり俺の地元だ。家からは離れているけど来た事がある。
場所と年月が大まかにわかってコンビニを出て、じわじわと実感が湧いてきた。
や、うそ、本当に過去に戻っちゃってる。
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