2.

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 とにかく、過去に来て楽しむことってのがどうにも浮かばない。本当に万引きとかチャリのサドル抜き取るとか嫌いな奴にとび蹴りかますくらいしか思いつかない。まあこの時代だと嫌いな奴はまだ小学生なんだけど。ああでも今の力が歴然としている時にボコボコにしてトラウマを植え付けるってのもありか。やらないけど。うららの言っていることがなんだか腑に落ちてしまっている。今俺がこうしてうららと過去に来ていること自体、あの時代では起きていたことなんだ。だから嫌いな奴らが嫌いな奴のまま笑ってるってことは、俺は結局子供のそいつらに何かすることはできないということなんだろう。試してみてもいいが徒労はしたくない。  何かしら試してみたいが、過去にも残りそうなことといったら、何処かに文字を彫ったり壊したりが手っ取り早い。彫るのが一番穏便かな。もしくは公園の木の枝を折るとかか? 疲れそうだな。お手軽なのを所望したい。  なにかしら実験じゃないけど、確認できそうなことをして帰りたいが、一時間、わりとすぐだ。やはり時間のかからないことをするべきだ。自分の家に何かするか。ここからだと歩いて十五分か二十分くらいで行ける気がする。十分な時間だ。歩いている間に何か考えればいいから、とにかく行動してみよう。 「なあうらら、うらら?」  いないんだけど。  何処行ったのあいつ。何か面白そうなもの見つけて走って行っちゃったの? それとも俺が考えながら歩いていたせいではぐれたの? ありえるから困る。どっちかではなくどっちもの可能性だってある。  はぐれてしまったけど、これはこのまま過去に取り残されるってことはあるのか? いや、今俺は一応寝ている状態なわけだし、俺も起きれば戻れる、いや戻れずにそのまま植物状態ということに、なっても俺はこの時代で生きるわけで、じゃあ今寝ている俺の年代まで生きたら、俺はどうなるのだろうか。  考えてみると気になることはたくさんあるな。しかもうららに訊いてもわからないだろうことばかりだ。試すにはリスクが大きすぎるし、できればやりたくない。そうなってしまったら諦めて生きる方法を考えるけど。  しかしまあおそらく、うららに会えないことはないだろう。なんて、謎の自信があるうちに行動を開始してしまおう。
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