2.

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 本来なら一刻も早くうららを探すべきかもしれないが後回しにして、自分の家を目指す。ここはちょうど昔俺が子供の時に迷ったところだ。懐かしい。確か今歩いている反対方向にあの初恋の女性と出会った公園があるはずだ。戻ってきたら見に行ってみるのもいいな。まあ公園なんて何が変わっているわけではないだろうけど。  家には予想よりも早く着くことができた。鍵は変えたことはないはずだからと回せばいとも容易く開いた。当り前だこの家の鍵なんだから。  自分の家なのだが、家具の位置とか今はない物ある物が違うだけでなんだか違う家に勝手に上がり込んでいる気分だ。脈が速くなってしまってあまりいい気分ではない。とりあえず深呼吸をしながら自分の部屋に入る。ああそうだ、この頃はベッドじゃなくソファベッドだったんだ。子供の大きさならベッドにしなくても眠れるところが気に入っていたが、今は、ああやっぱり、おもいっきりはみ出す。子供の頃はこの肘かけに頭を乗せて寝るのが好きだったっけ。そのまま寝て体が痛くなることもしばしばだった。  思い出に浸っている場合じゃない。今俺は侵入者なんだから、さっさと目的を果たさなければ。といっても、何をしたものか。  考えても思いつかなそうなので、やはりわかりやすく家具に何かしら書いたり彫ったりすることにした。日付だとかだとあからさまなのは芸がない。さて、何がいいか。  そんなに捻ってもしかたないし、まあじゃあ、これでいいか。  さすがに彫るのは時間がかかってしまうから、机にあったボールペンを使い、今でも俺の部屋にある本棚の側面の高い所に書いて、寂しいからついでに近くにあった画鋲を刺しておく。あ、これ俺がコマとして遊んでたやつだ。色が塗ってある。そうか、子供の頃なくなって悲しい思いをしたが、俺のせいだったのか。ということは、現代までこのままなのは保障されてるようなもんだ。これがあったら、過去に戻っていることを確信できるだろうさ。  一仕事終えて、というとなんだか泥棒のようだ。実験を終えてあとは結果を待つだけ。家を出て鍵をしっかりと閉めてマンションを出る。さて、うららを探してみようかね。あの辺りにいるといいけど。  マンションのエントランスを出た時に、思わず固まってしまう。なんか変な子供がいる。
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