2.

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 子供の自分と指切りをしてとりあえず小学校の方へ行ってみる。下心は全開だ。小学校周辺を探せばもしかしたら俺の初恋の人に会えるかもしれない。会ってどうこうしたいわけではないし、そもそも顔も覚えていないのにどう探す気なんだって話だが、単純な好奇心だ。過去に戻るなんて出鱈目をやっているんだ、もしかしたら出会っちゃう奇跡も起きるかもしれない、起きてくれ頼む。  行き道で、今の状況について頭を働かせる。下心は体に任せた。  過去に来たこの時にこの事態ってのはピンポイント過ぎないか? ランダムに思えて実はランダムじゃないのか? 実は何かしら、その人のターニングポイントやそれに準ずるところに戻っている、とかなのか? 思い返せば俺が最初に戻ったときも世一と凛李ちゃんの仲に亀裂が入ったところに行って仲直りの一助になったわけだし、うららは藤乃ばあちゃんを救ってる。そして今は、ちゃっかりお姉さんに言われた言葉を言ってしまった。これはつまり、記憶がごっちゃになっていて本当はお姉さんじゃなく未来の俺に言われたってことなんだろうか。そこは流石にお姉さんに会ってみないとわからないけど会える可能性かなり低いな。とにかくそこら辺はちょっとうららに話を聞いてみる必要がある。  小学校が見えてきて、誰かいないか探してみる。その人がいなくても、誰か目撃者はいれば、その人に女性がどっちに行ったかを確認できる。だがよくよく考えてその光景を見た人もすでに何処かに行ってしまったに違いない。ああくそ、手詰まりか。会いたかったなぁちきしょう。  諦めて、校舎を見上げてみる。そういえば卒業してから改装工事をして、今はこの時と見た目が少し変わっているんだよな。ちょっとぐるっと一周見てみるのも悪くない。  それにしてもまさか今回がこの日になるなんてなあ。予想すらしてなかったし、まあ過ぎてしまったことはしかたないんだけど、後回しにせず公園に行っていたら、もしかしたら会えたかもしれないんだよなぁ。悔やまれる。 「おお、ハルアキ。どしたん」  ぼんやり校舎や校庭を眺めながら歩いていたらうららの声が聞こえて、よく見ると、学校の敷地に沿って囲っているフェンスの向こう、弓なりに曲がっている先でこちらに手を振っている姿が見えた。校庭直結の裏門の上に座ってやがる。どーりで視線が高くなったわけだ。何してんだが。
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