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俺は三回しか行ったことがないなかで考えついたことをうららに話して、それを今まで行った時に感じたことや出来事に擦り合わせて考えて、新しくわかったことは一つだけ。過去から未来に何かを持ちこむことはできないってこと。窓を割る時に使ったガムテープを持っていたはずなのに、起きたらなくなっていた。
だから結局、うららがわかってたこと以上のことは、何もわかっていない。
俺が感じた、過去に戻るのには何か意味があるっていうのも、起こるべくして起きているから、結局は今をこうして生きているのと変わらない。人がいればそりゃあなんかしら意味があって、それが過去に戻ったところで変わりやしない。
なるべくしてなっている。
何かを成すためじゃない。この異常な現象が、すでに世界には自然な形だってこと。
「考えすぎなんだよお前は」
「性分なんだよ」
最初のうちはそう言いながらもうららは話に付き合ってくれたが、いつからか俺自身そのことに触れることなく、別の話をするようになっていた。
世一が当り前のように全国大会に進出したことや、こないだ編み出したという山なりに放った矢が落ちてきた所を射抜くという技を動画に撮ったから見せたりとか、この前作った弁当がやたら好評で、最近あいつの好みの傾向がわかってきて弁当作るのが楽しくなってきたとか話してたら、うららに舌打ちされ珍しく肩に拳が刺さって、「彼女かよ!」と怒られた。自分でも気がつかなかったが、確かに世一の話ばかりをしてしまっていたし、世一といるのが当り前になっていることに気がついた。これじゃあ「やっぱり世一君が良いの?」とか、凛李ちゃんに「取らないでよ!」と言われても仕方ないかもしれないと反省した。
「お前の恋人はあたしだから! 忘れんじゃねぇよバカ!」と怒られたのが、無性に嬉しかった。前の彼女は世一に勝てないと身を引かれてしまったから、しまったと焦ったのだが、うららは怒って、嫉妬して、初めてあちらから手なんか握ってくれた。本当に、好きだと思った。
恋ってのはまだまだわからないけど、今俺が恋しちゃってるってのは、恥ずかしながら理解した。
他のカップルとは若干形態は違っているかもしれないが、俺達もまた例外なく、夏の暑さによってバカへと変貌させられていた。世一たちには遠く及ばないけれど。
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