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 ダブルデートの方もどうにか某有名テーマパークに行くことで決定し、夏休みの最後の週の水曜日に行くことになった。それまで五日。暇だったからやっていた短期バイトのおかげで金に随分と余裕ができたから、二人で何処かに行こうとうららを誘った。夏だし夏らしく海を見に行こうと、二時間半かかる海岸へと、日帰りで行くことにした。  海に入るのはシャワー浴びたりしなきゃいけないし面倒だから無しと話し合う間もなく両者合意。水着も持たずに海に行くから荷物は少なくて楽だ。  待ち合わせの駅に十一時。弁当を作るために早起きして、一〇分前には着いて改札の近くで待っているが、ただ立っているだけで汗が出てくる。恐ろしい季節だと外に出る度嫌になる。  なあやっぱり今日何処か涼しい所に行かないか、とか言ったら怒られるだろうな。腹を決めよう。そもそも自分で言いだしたことなんだから。  待ってる間に飲みものを買っておこうかと連絡を入れようとした時に、視界に入った純白。恥ずかしげもなく言わせてもらえば、そう、女神かと見間違った。  白のワンピースに麦わら帽子、底の浅いサンダル。そのシンプルな服装が、健康的に少しだけ焼けている肌と合わさって暴力的なほどだ。手には籠のようなバッグ、肩には俺が作ったバッド入れが下がっていた。  輝く笑顔でこっちに駆け寄ってきたのはしかし女神ではなくうららだった。 「よおハルアキ。数日ぶり」 「綺麗だ」 「へへへ、頑張っただろ?」 「早く海に行こう。絶対似合う。晴れてるし、写真撮ろう。俺下手だけど」 「変なテンションの上げ方してんじゃねぇよ! 恥ずかしい」  自分の恋人が綺麗でテンション上がらない奴いる? いいやいない。  行く前に飲みものだけ買っていざ海へと向かう。電車に揺られて乗り換えて、段々と住宅が減っていく風景に何処か童心に帰るようなわくわく感が芽生えてくる。  最後の乗り換えを終え、ここから一時間二〇分乗りっぱなし。移動の大半がこの電車だ。 「人少な。がらがらじゃん」 「まあ夏休みも終盤だし一応平日だから、東京方面に行くことはあってもこっちに行く人は少ないんじゃないか。行くとしてももっと早い時間に行ってるんだろ」 「おいハルアキ、ボックス席が空いてるぞ! 座ろうぜ! あたし窓側!」 「あ、ずるいじゃんけんだろ」 「早いもん勝ちー」 「まあいいけどよ」 「向かいに座ればいいじゃん」
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