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――ゴーン
僕が見上げていた青いっぱいの空は、血に染まったかのようにてらてらと赤黒くなっていた。
――ゴーン
肌が、ピリピリと張りつめた空気のようにチリチリと痛んだ。
――ゴーン
鼻につく異臭。この世のものとは思えなかった。
実際そうなのだろう。
――ゴーン
「うるさい」
耳をつんざくような音。そうだ、音だ。さっきから不快感を掻き立ててくる一番の原因は。
この屋上から見渡せる限りの街中には、どこにいても聞こえるであろう大きさで鳴り響いている、鐘のような音。
その音は大きくなったり小さくなったり、高くなったり低くなったり、波のように広がっていく。
ただただ気味が悪い。
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