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俺の家族。
俺はウィリアムと別れてから俺の故郷のスプライト村へと寄り道せずに真っ直ぐ進んだ。
そう、それは人が見えないくらいの猛ダッシュで。
お陰様で今無事に妹の姿を崇めることが出来ていた。
「エレナ~ただいま~」
俺は家にたどり着き、エレナを見つけ話しかけた。
「兄さん!お帰り!ヒーロー辞めたって本当?」
「ああ、本当だよ。」
俺とエレナは年が三歳離れている。
この世界では十五歳になると社会人として認められる。
スプライト村では精霊術の有無がわかる精霊洗礼を受けることになっている。
そしてなんと、今日はエレナの誕生日なのだ。
「今日の精霊洗礼で兄さんのようなスピリットスキル貰えるといいな。」
「大丈夫だよ、俺の妹はきっと凄いスキルを持って持ってるに違いないさ!」
「ほんとうに?」
うーん!今日もエレナは可愛い。我が妹ながら村で一、二を争うぐらいには可愛いと思う。
「何ニヤついてんのよ…カイト」
「………邪魔者め」
そして、俺の幸せな時間を邪魔したのはリリア。俺は笑顔を固着させたままリリアに対して声をかなり落として悪態をついた。
「そう………そろそろ時間だから教えに来てあげたのに、ね……カイト?」
俺はやってしまったと思った。リリアが怒ると手がつけられなくなる。だから一生懸命に今の俺にできる言葉を並べ立てた。
「ごめん!リリアのお陰で遅刻しなくてすみそうだよ。ありがとう!本当にリリアがいてくれてよかった!
それにいつも感謝してるよ!本当にありがとう、リリア」
どうだろうかと俺はリリアの顔色を伺う。
「そう………じゃあ、いこうか?」
リリアはプイっと体を反対側に向けると俺達を振り返って笑顔で言った。
「ああ、そうだな!」
「うん、そうだね!」
兄弟は同時に返事をするとリリアの後を追うように家を飛び出した。
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