俺の家族。

3/5
前へ
/22ページ
次へ
ゲラゲラと笑い声が村から絶えずに聞こえてくる。 なぜなら今日はエレナの誕生日であり精霊洗礼の日であり、大人にとってはお酒が大量に飲める日だからだ。 精霊洗礼の日は村人達にとって祭りのようなものなのだ。 そして、俺達は野外テーブルの上で夕食をとっている。 「リリア、精霊はなんだって言ってた?」 「うん。私のスピリットスキルは“治癒の守り人”だってさ」 スピリットスキルとは精霊の種類だけ存在するスキルだ。精霊洗礼ではどれか一種類のスキルが貰える。 しかし、どれくらいのスキルがあるのかは俺達にはわからない。 ただわかるのは、精霊の実体は死んでいった妖精達ということ。そして、その子孫にあたる妖精達は精霊の加護を持つ俺達村人をたいそう気に入り守ってくらているということだけだ。 そして、精霊の加護には上から 支配者、守り人、操者、付き人という位がある。 守り人と操車はスピリットスキルを使うのに体力や魔力を少し消耗する。もちろんだが、魔法より断然威力は高い。 支配者はそのスキルをノーダメージで好きなだけ自由に使える。 ちなみに付き人は精霊の加護だけというショボいものだったりする。 「守り人なら上から二番目、いいほうじゃないか!」 「兄さんは“闇の支配者”じゃない!私も兄さんみたいに“支配者”が良かった!!」 俺の言葉に少し怒り気味でエレナが言った。 同席していたリリアがエレナを諌めるように声をかけた。 「エレナ、守り人だって十分に強いの。気にすることないわ」 「リリア姉さんも“光の支配者”じゃん!だいたい、支配者って格種一人っていうのに二人とも支配者なのはズルすぎるわ!」 “その通りだ”と俺は思った。その時思い出したある一言。 「そういえば、治癒って何よりも人の役に立つよな」 気づいた時には俺はその言葉を発していた。 するとエレナの顔はキラキラしたものに変わって元気を取り戻したようだ。 「ありがとう!支配者にはなれなかったけどいつ兄さんが怪我してもいいように私、治癒の腕前鍛えるわ!」 ニコニコと笑うエレナに周りも自然と笑顔になった。俺は親友(ウィリアム)に治癒魔法をかける機会があって良かったと思った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加