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洒落た木目のテーブルに、湯気の立つ陶器が置かれる。香り漂う液体を啜ると、熱が喉を通ってゆく感触に思わず溜め息が出る。
しっとりしたクラシック。サティの『あなたがほしい』のピアノにのせて、ささやかだが、どこか楽しげな、周囲の話し声が耳をくすぐる。
とにかくあの厳しい天気から屋根のある場所へ逃げようと思い、ふらりと立ち寄った喫茶店だったのだが、これは私の行きつけカフェがひとつ増えそうだ。
濡れたシャツが気になるが、絶妙な空調はそれを乾かしてゆく。この心地よい安寧にいつまでもたゆたっていたいと願いながら、私は珈琲を口に含んだ。その苦味はまるで、平静さを失った私の心をゆっくりと落ち着けてゆくようだ。
というのも、私はついこの間、想い人へ告白なるものを敢行したのである。
腰までの黒髪を揺らした穏やかな人で、その可憐さといったらなかった。
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