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『ゆうくん…ゆうくん。お祖父ちゃんがね…死んじゃったの…』
三日後。泣きながらお祖母ちゃんが連絡をしてきた。僕の力は本物だ、と証明されてしまった瞬間である。また三日後。そして、やっぱり遺体は見せてもらえなかったが、親族の話を盗み聞くに自殺であったことも間違いないらしい。二回続けばもう、それは偶然ではない。
――僕が影送りをすると、その人の最期が見える。…いや。その人の最期を、僕が決めてしまうのかな。
必ず三日後に死ぬのなら、きっとそうなのだろう。僕は人の魂を空に送ってしまう性質を持っているのだ、きっと。とりあえずそう解釈して僕は――今日までこの力のことを、誰にも話さずに生きてきたのだった。きっと話しても信じては貰えないだろうし、信じて貰えたら貰えたで気味悪がられるだけである。変なところに幽閉して一生そのまま、なんてことになっても困る。僕はまだ、この世界のことを何も知らない子供なのだから。
そう、思っていた僕は――今では高校生になっている。
生きていれば、もっと刺激的で楽しいことに巡り会えるだろうと思っていた。しかし、生きても生きても世界は平凡で、面白みの一つも感じない。誰が死のうと興味はないけれど、僕は別にサイコパスじゃない。片っ端から適当な他人を影送りで殺したいとも思えないし、そんなことをしても別に楽しくはない。
だからだろうか。常日頃見る夢に――強く惹かれるようになってしまったのは。
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