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「…じゃあさ。」
ガシャン
突然翔馬があたしの前に来て、あたしが両手で握っていたブランコの鎖を上から重ねるように握った。
手を塞がれた状態になった。
「ちょっと翔馬離し…」
「…俺がやめろって言ったら懍はそのOBの人と付き合うのやめてくれんの?」
「え?」
(…翔馬?)
その時の翔馬は悲しい目をしていた。
「懍は全部、俺の言う通りにしてくれんのかよ!」
初めて見た翔馬のこんな顔…。
いつも【僕】なのに…。
【俺】なんて…
「…優華ももちろん大事だよ。
でもそれは大切な幼なじみとして大事なだけで
それ以上の感情なんて俺は持ってない。
…俺が本当に大事なのは」
その時、翔馬があたしにキスをした。
「…懍だけだよ。」
あたしはびっくりして翔馬を突き飛ばした。
「懍!」
…何で。…何で。
ずっと…四人でうまくいってると思ってたのに…
四人だけのあの空間が
大好きだったのに…。
何で…。
でもその日されたあのキスはずっと残ったままだった。
そしてあのキス以来、
私は翔馬と関わるのをやめた。
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