孤独

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そんなある日  いつものように家に帰るのが苦痛で 図書館で本を読み漁り ぶらぶらして帰ると リビングからいつも以上に 賑やかな声 私はいつも部外者で この扉を開け 「ただいま。」を言うのが一番嫌だった。 私が入る事によって  家族三人の空気が変わるのを感じていたから。 「ただいま。」 「おかえりなさい。」 妹の時とは 明らかに声のトーンも違う。 いつも傷つく瞬間の一つだった。 「でね ヤマト先生がね これ買ってくれたの!!」 妹は いつもよりさらに癇に障る声で 両親に立ち上がって プレゼントの箱を見せた。 聞きおぼえのある名前に振り替えると 「ひさしぶり。ナナちゃん。」 立ち上がった懐かしい顔が 二コリと笑った。
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