孤独

9/62
前へ
/371ページ
次へ
意地でも受かってやる その思いだけで必死だった。 担任にもいろいろアドバイスを受けて私は 市内でも有名な進学校を志望校にした。 「塾に通わなくてもここ受かったらすごいぞ。」 学年の担任たちが笑った。 我家の事情は多分いろいろとわかっているけど 最低限度の生活や義務教育も受けてるし 虐待されている様子もないけど 私の立場の孤独さには 目をかけてもらってる気がした。 先生が私の学力を誉めても 母親は冷めた目をしていた。 「この子の入れる高校でお願いします。 あとは本人と先生におまかせしますので。」 担任が変わるたびに目を丸くしているのが 面白かった。 そんな母親は 私立の中学に通わせている 妹には力を入れて PTA活動も張り切っていた。 「つらいことあれば言えよ。 先生たち味方だからな。」 私はいつの間にか 周りに助けれる術を身に着けていた。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1118人が本棚に入れています
本棚に追加