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係長はシャワーを浴びて仮眠して遅いお昼を食べてから、
「そろそろ行こうか?」
そう言った。
荷物を車に積んで、皆に挨拶をして玄関を出る。
お父さんは係長と私が帰ると言ってもこっちを見る事はせずに、ただ「気をつけて行きなさい。」と言った。
気をつけて帰りなさいじゃないところが、なんとなくジンときてしまった。
お母さんと兄たちは車まで送りに来てくれる。
「沙也加をよろしくお願いします。」
と頭を下げるお母さんに対して、
「なんかあったら兄ちゃんに言えよ。
すぐに駆けつけるから。」
と係長への脅しとも言える言葉をかける祐兄。
たー兄は、
「まあ、仲良くやれよ。」
そう言った。
みんなに見送られて、
「なんか結婚するみたい。」
走り出した車の中で思わず口に出して言ってしまった。
「するか?」
いつものポーカーフェイスで言う係長。
「それって私が決めるんですか?」
「決めていいよ。」
「係長がしたい時にしましょ?
多分今じゃないでしょ?」
係長は真剣に考えてる。
「上野と結婚したいのは事実だよ。
今がいいって言えば今する。
だけど、なんていうか……難しいんだけど、今はまだ付き合って2ヶ月だからお互いペースが掴めきれてないところがあると思うんだ。
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