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自分の席に着くと、村田さんが話しかけてくる。
「昨日はお疲れ。
昨日はいつもとイメージ違うから驚いたよ。」
「そうですか?
だとしたらあっちが本当の私ですよ。
変な幻想は抱かない方がいいですよ。」
「俺はどっちの上野もいいと思うよ。」
「はいはい。
ありがとうございます。」
わざとおざなりに返事する。
「ところでさ、係長の彼女ってモデルらしいぜ。」
「えっ?」
「係長のお父さんの病院に腕くんで入ってくのを見たやつがいてさ、彼女の顔が駅ビルの化粧品売り場に貼ってあったポスターと一緒だって言うんだよ。」
モデルさんなんだ……。
きれいだったもんな……。
私は会ったことのないお父さんに会いに行っているのなら、間違いなく私より親密な関係だろう。
親が決めた許嫁とか……?
さっき結婚はガセネタだって言ってたけど、今はまだしないという意味で機が熟したら結婚するのかもしれない。
憶測では埒が明かないんだけど、それでも今は憶測で今後を考えることしかできない。
係長がきちんと話してくれたら借りっぱなしになってるショールを係長に返してもらおう。
係長との別れの時になるかもしれないけど……。
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