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あれから係長からの電話は着信拒否に設定した。
会社でもなるべく会わないようにして、二人きりにならないようにできるだけ誰かと一緒にいるように心掛ける。
その間に営業さんから何度も食事やお酒のお誘いがあったけど、とてもそんな気分にはなれないのでずっと断っていた。
係長は私のアパートに何度も来たけれど、私が玄関のドアを開けることは無かった。
晴人の浮気は黙認できたけど、係長の浮気は許せない。
晴人と別れたときに私があれだけ傷ついた事を知っていながら浮気して、更に嘘までつくなんて……。
そして何よりも、初めて心から愛した人なのに……。
絶対に許せない筈なのに、反対に会いたい気持ちは募っていって、どうしていいかわからない。
前みたいに二人きりで会いたい。
係長に触れたい。
私だけの係長でいて欲しい。
だけど私は自分の気持ちとは裏腹に係長との接触を避けた。
だって、愛してる分許せない気持ちも強いから。
その間に係長は実家と私のアパートへの往復でみるみるうちに疲弊していった。
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