355人が本棚に入れています
本棚に追加
それが少し落ち着いて、お互いが隣にいるのが当たり前になった頃に結婚するっていうのっていいなっては思ってる。
憧れ……みたいな感じなんだけど。」
「うん。
私もそう思います。
係長は好きだけど、まだ今じゃない。
お父さんもお母さんも私が遊ばれてるんじゃないかって心配してあんな事言ったけど、付き合ってるんだから責任とれって言ってるわけじゃないんです。
多分ただ心配なだけで……。」
「わかるよ。
上野が可愛くて仕方ないんだな。」
私は恥ずかしくなって下を向いた。
「じゃあとりあえず一緒に住まない?
俺は少しでも長く上野の隣にいたい。」
晴人との同棲で、一緒に住むことの辛さを味わってしまった私が先延ばしにしていた係長との同棲。
でも係長となら楽しい同棲生活になる気がする。
「はい。」
私が答えると、係長が私の手を握った。
「ところで……。」
「はい?」
「沙也加って呼んでもいい?
あの営業が沙也加って呼んでるのを聞いて悔しくて。」
そんな理由を聞かされるとなんだか可笑しくてこっそり笑ってしまう。
「いいですよ。」
「上野は、いや、沙也加はずっと係長って呼ぶのか?
係長って呼ばれるの嫌いじゃないけど……。」
「どうしようかな……。」
「俺が課長になったら?」
「課長って呼びます……?」
今度は係長が笑った。
こんなに楽しそうに笑うの初めて見たかも。
最初のコメントを投稿しよう!