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「用意できた?」
寝室で着替えていた私の様子を係長が見に来た。
「はい。
今行きますね。」
玄関で靴を履いてから係長係長先に外に出てくれるのを待つ。
だけど係長はその場でクルリと振り返って、私の手を握った。
「何を言われても俺が守るから。」
係長のこれ以上ないくらい嬉しい言葉にただ頷くしかできなかった。
係長は私の唇にそっとキスをして、
「じゃあ、行くよ。」
そう言ってドアを開けた。
玄関を出て二人で歩く一歩。
これからもずっとこの人の隣で人生を歩んでいきたい。
今までいろんな人に助けてもらってなんとか生きてきた頼りない私だけど、これからは少しでもたかさんの力になっていきたい。
まだまだ私達の人生はきっと前途多難だと思う。
でも一緒に乗り越えてくれる人がいるから怖くない。
私はたかさんの腕を引っ張って自分の腕を巻き付けた。
「もう離しませんよ。」
たかさんは微笑んで、
「望むところだ。」
そう言って私の手をきつく握った。
ー 終わり ー
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m 春香
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