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花さんと出逢ったのは、彼女の教え子が怪我をして病院に来た時だ。
診察はスムーズに終わり、緊張し心配していた付き添いの先生に目が行った。
ふっ、と・・優しい笑顔で笑った。
僕はその笑顔が頭から離れなくなった。
それまで女性とは何度かお付き合いした事はある。
だけど仕事が大事で忙しくて、そうすると女性の方からさよならを言われる結果だった。
しばらくはいい・・何年か、一人前になるまで、恋愛は無理そうだ。
そう思っていたのに花さんと恋愛を始めた。
楽しくて幸せで・・・その先にあの辛い別れが待っていると知っていても・・・。
僕は彼女との恋を選んだと思う。
僕たちの出会いと別れは、僕をまた仕事へ走らせた。
彼女の命を心に抱いたまま、彼女が生きていた証を残す為に。
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