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「お久しぶり、二人とも大きくなったね。」
「公太さん!お久しぶりです。こっちです。」
陸君はもう大人の様だ。
「公太さんお土産ないの?」
「あるよ? でも、喜んでくれるか微妙だな。」
雪ちゃんの言葉に僕は自信なく答える。
「なぁに?」
「たい焼き・・・。」
「大丈夫・・。セーフ。」
「あはは・・。セーフか。」
その言葉に僕は苦笑する。
「公太さーん。こっち。」
百合さんが手を振っている。
「こんばんは。お久しぶりです。」
「半年?まぁまぁ、座って? 始まるわ。」
「ほい、ビール。お、公太くん、お久しぶりー。」
「お義兄さん、お久しぶりです。なかなかお会いできずにすみません。3回忌もお任せしたままで・・ご挨拶もできずで・・。」
そう言って深くお礼を言う。
「気にしない。今日は仕事大丈夫?相変わらず忙しいの?」
「まぁ・・。脳外科に変わったので新人と同じです。下から勉強です。」
「そりゃ、大変だな。まぁ、今日はゆっくりして。お茶でも飲んで・・。」
「戴きます。」
「つまらんなぁ・・。お酒を飲まずしてなにが花火大会だ!」
「僕が飲んだら事件だよ?」
「そうでした・・。」
百合さんは言われたという顔をして、ビールを飲み付け足した。
「あなたが飲まずに居てくれるおかげで、こうして美味しく飲む事が出来ます。感謝。」
さらにグビグビと飲んだ。
「車の運転は・・・」
「僕担当ですねぇ・・。」
「変わりませんねぇ。」
花火大会が終わり、帰り支度を始めた。
珍しく百合さんは酔っ払い、お義兄さんが車の場所まで背負う事になった。
百合さんの座る横に、ビール缶が1つ、置いてあった。
それを見ると、百合さんが花さんと二人でビールを飲んでいたのが分かった。
百合さん家族の車を見送り、人もまばらになった所に座る。
置いてあるビールを手にする。
「花さん?美味しかったですか?」
「美味しかったですよ?」
と言う声と、くすくすと笑い声が聴こえた気がした。
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