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『俺と付き合って』
漸く、彼はそれを言うのだ。
期待で胸が膨らむ。
私は自分で言うのもなんだけど可愛い。
だからモテるし告白もよくされる。
なのに未だに彼氏がいないその原因はこの幼馴染み。
彼は、私の事を好きだ。
どんなにワガママ言ったって、仕方ないなと文句を言いながらも結局最後は叶えようと努力してくれる。
出会いは幼稚園。
臆病者で怖がりな癖に、私がいじめっ子の男の子に意地悪されていた時いつも助けてくれていた。
その時からずっと、彼は私の王子様なのだ。
私を悪から守るためならボロボロになってでも立ち向かってくれるのに、私に告白する勇気は兼ね備えていないらしい。
私は、幼かったあの日からずっと、彼の告白を待っている。
私も、彼の事が好きだから。
前回のそれをヒントに今回のバッテリー切れは彼が私に告白しやすいようにとわざと仕組んだ。
さすがに想い人に『何でも言うこときく』なんて言われたら、自分のものにできるこの機会を逃すはずがない。
多分……その瞬間が今、やって来る。
私の鼓動も早さを増していた。
彼が唇をゆっくりと開く。
ああ漸く。漸くだ。
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