正反対の二人

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 再び僕の一つ隣の席に収まった奴は、ゆっくり時間をかけて文字を追っていた、一ページを捲るのがなんとも遅い、しかもじっと文字を見つめては時折首を傾げて、スマホを操作するので更に時間が掛かっていた、どうやら読めない漢字を調べているようだ。もちろん知らないことを調べるのは良いことだけど、本にはストーリーがあるし、楽しく読むテンポもある。それが分からないまま漢字の勉強という体で本に挑むのは何とも勿体無いと僕は思う。  仕方が無いので、メモ帳を一枚破いてペンと一緒に奴に渡した。 小声で 「分からない漢字は、そこに書け。」 と囁くと、奴はスマホを仕舞いゆっくりと文字を追いながら、読めない字を紙に書いてゆく。僕はそれを横目で見て、再びメモを千切ると、読み方と意味を書いて見せてやるという作業を始めた。
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