正反対の二人

10/16
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
図書館から少し離れた大通りにある、ファミレスで和風スパゲティとサラダのセットを奢って貰い、更にその向かいにある、ガラス張りのコーヒーチェーン店に連れてこられた。  こいつは大の甘党で、季節ごとに新作が出るフラペチーノを愛して止まないらしいとのこと。知らんがな。 僕はこの手の店は苦手だ、注文方法も分からないし、サイズも意味が分からないし、しかもこのガリ勉な外見だと更に居場所が無い。しかし奴はそんな僕の気も知らぬまま、季節のフラペチーノを二種類勝手に頼むと、僕に一つ手渡してきた。いや、こんなに飲みきれないけど。先ほど昼を食べたことを忘れているんじゃなかろうな。  ガラス張りの店内から外を眺めつつ、甘ったるいフラペチーノのクリームをスプーンで掬って食べる。 「甘い。」 けどまぁ美味い。疲れた脳の餌になりそうな甘さだ。 僕がそんな感想を告げると。 「でっしょー。」 と奴はおどけたように言った。 ファミレスに入ってから、スタバに来るまで奴の口から言葉が止まることが無い。そのおかげでこいつの個人情報をかなり知ってしまった。 正直知りたく無かったのに。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!