正反対の二人

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茶髪不良は、彰吾という名前だということ、この町から二駅離れたあまり頭の宜しく無い高校に通っていること。 週に3回CDショップで、バイトをしている事。 なんで今更、本を読もうと思ったのかというと。 「俺さ、この間までちょっと事故にあって骨折して入院してたんだよね。その時俺の隣のベッドにいたおばあちゃんがさ、沢山絵本を持っていて時々見舞いに来る小さい孫に読み聞かせをしてたんだよ、俺はやることが無くて暇だから見舞いの孫が来るたびにカーテンの向こうのばあちゃんの声をずっと聴いていたんだ。そしたらさ、ばあちゃん耳を澄ましてる俺に気が付いて、絵本とか色々貸してくれたわけ。それで読み始めたら絵本だけど面白くて、今まで本とか面倒で読んだこと中無かったけど、こんな世界があるなら触れても良いかなって思ったんだわ。」  因みに一番気になったのは、絵本版の不思議の国のアリスだとか、その本ならちゃんと大人向けの原作もあるし、何なら続編もあると教えれば、奴は嬉しそうに手を広げ。 「透、次はそれ一緒に読もうぜ約束な!」  と僕の名前を呼び捨てにした挙句、無理やり約束を取り付けて来た。     
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