正反対の二人

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 しかし、絶対に断らせてくれない日もあってそれは、新作のフラペチーノが出てきた時だった。  新作が奴のツイッターに流れた日には、僕と会って早々、そわそわして、「今日のお勧めの本は?」という問いかけの紙を見せる前に「新作のフラペチーノ、一緒に飲んで」というお願いをしてくる。 それに僕は「半分ならね」と返す。  あのカフェの新作は基本二種類出るらしい、しかし奴は外見に拘る奴なので、この見た目でフラペチーノを二つも頼むのは恥ずかしい。(ただし僕がいるのなら別)とのこと、彼には彼なりのポリシーがあるようなのだ。  因みに奴の友達はカフェなどを好かない、カラオケとゲーセンに行きたがる奴ばかりで構成されているのだとか、だから半分こしたくても出来ないというジレンマに陥っていたと、初日に力説してくれた。  そういえば一度、奴が友達と駅にいるのを見たことがある。揃いも揃って髪色が明るく、だらしなく制服を着崩しているなぁとしか思わなかったな。もっと前だったら、不良は苦手だから目を反らして下を向いて、通り過ぎたものだけど。奴が僕に気が付いて嬉しそうにこっそりと手を振るものだから、僕も奴の友達の視界に入らないようにこっそりと振り返してやった。     
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