神の家に巣くうモノ

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 その腕をランバートは掴み上げ、一気に背負い投げる。強かに床に打ち付けたルジェールが喚く前に忍ばせておいた布で猿ぐつわをし、鳩尾に一発入れれば簡単に気を失った。 「流石ランバート、鮮やかだね」 「ラウル、そっちの首尾はどう?」  ドアが開いて、ホクホクとした顔のラウルが顔を出す。完全に一仕事終えてきた表情を見ると、上手く行ったのだろう。 「神父様の水に睡眠薬を入れておいたから、目は覚めない。さっき確認したらぐっすり寝てたよ。もう一人のマルコフは外に出てきた所をレイバンとコンラッドが捕まえてた。馬車に積み込み済み」 「それじゃ、こいつも積み込まないとな」  両手と両足を縛りあげ、更に上から袋を被せる。主に死体用の袋なのだが、丁度良かった。  二人がかりでルジェールを運ぶと、教会の裏手には馬車があり、コンラッドとレイバンが待っていた。荷台には二人分の死体袋が並ぶ。 「んじゃ、お先に。尋問はボリスがやるって言ってたから……酷くなりそうだよ」 「頼む。俺とラウルは明日ここを出る」 「了解。二人とも、最後まで気をつけて」  女装姿の二人を置いて、馬車は暗い森の中へと消えていく。後に残されたランバートとラウルは互いに顔を見合わせ「ボリスだって」と苦笑した。 「本当に、もう行ってしまうのかい?」  一晩お世話になった神父に丁寧な礼をして、ランバートとラウルは静かに森へと戻った。     
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