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そうなれば、神子姫と接触出来れば味方になる可能性がある。牢の場所などもわかるだろう。
「決行は今夜。時間を掛けていられない」
「だね。ところであの二人、どうするの?」
レイバンが地下の二人を指さす。ボリスは「死体袋に入れて流せば?」なんて非情な事を言っている。だがランバートは首を横に振った。
「帝国に連れて帰る」
「え! 何のために?」
「教会の事くらいは知ってるだろ。アルブレヒトさんを奪われたとなれば、きっと戦況が急激に動く。情報は少しでもあったほうがいい」
「いいけど……人間やめてるよ?」
「やめさせたのはボリスだろ。責任もって飼え」
「いや」
あっかんべー状態のボリスに溜息をつきつつ、未だ怯えているフリュウに目配せをした。これで、船に積んでもらえるだろう。
「今夜、動くぞ」
空には丸い月が、堂々と森を照らし始めていた。
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