ナハルの協力者

3/6
前へ
/69ページ
次へ
「ドゥエインさんからの要請で、船は二層式で船底に人を隠せるものにした。直接船底のドアから入れるから、外から見られる可能性は低い」 「有り難う。どのくらいで用意ができる?」 「明日には。荷を積み込んだらそのまま大河へと向かって、リッツさんの船と接触する予定」  リッツが上手く来てくれるか、来ていたとしても待っていてくれるかは状況による。行程としては順調にしているはずだが、こればかりは運も大きい。 「周囲の様子を聞きたいんだが」  ゼロスの言葉に頷いて、フリュウはこの先にあるナハルの様子を語り出した。  神子姫が予言をしたのが、二ヶ月前。その後、旅立つのかと思いきやその様子はない。神子姫が体調を崩したと言われ、村の薬師が処方をしたが、その後出て行く姿を見ていない。  薬を必要としたのは、おそらくアルブレヒトだ。神の力を借りる事は彼の寿命を削るに等しいと聞いていた。  薬は数種類あるが、主に解熱剤。本当は栄養を補給するための点滴なども欲しかったようだが、こんな小さな町ではそんな高級品手に入らなかったそうだ。 「多分だけど、弱ってるのはアルブレヒトさんだよね」  ハリーの言葉に、全員は静かに頷く。     
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

329人が本棚に入れています
本棚に追加