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「ドゥエインさんからの要請で、船は二層式で船底に人を隠せるものにした。直接船底のドアから入れるから、外から見られる可能性は低い」
「有り難う。どのくらいで用意ができる?」
「明日には。荷を積み込んだらそのまま大河へと向かって、リッツさんの船と接触する予定」
リッツが上手く来てくれるか、来ていたとしても待っていてくれるかは状況による。行程としては順調にしているはずだが、こればかりは運も大きい。
「周囲の様子を聞きたいんだが」
ゼロスの言葉に頷いて、フリュウはこの先にあるナハルの様子を語り出した。
神子姫が予言をしたのが、二ヶ月前。その後、旅立つのかと思いきやその様子はない。神子姫が体調を崩したと言われ、村の薬師が処方をしたが、その後出て行く姿を見ていない。
薬を必要としたのは、おそらくアルブレヒトだ。神の力を借りる事は彼の寿命を削るに等しいと聞いていた。
薬は数種類あるが、主に解熱剤。本当は栄養を補給するための点滴なども欲しかったようだが、こんな小さな町ではそんな高級品手に入らなかったそうだ。
「多分だけど、弱ってるのはアルブレヒトさんだよね」
ハリーの言葉に、全員は静かに頷く。
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