神子姫の願い

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 開いた扉へと駆け寄ったメンバーが押し入った事で、教会の内部は驚く程の混乱を起こした。 「地下への扉はこちらです!」  ラダの誘導によって地下に降りる面々は急いだ。その間に、一階に残るメンバーは次々に敵を切り伏せていく。騎兵府では滅多に出ない命令『殲滅』だ。 「掃除しとくから、そっちよろしく!」 「退路の確保もしておく。全員、無事でいろよ」 「あんまりのんびりしてると増援きそうだから、その前にお願いね」 「こっちは任せてね」  ハリー、コンラッド、ボリス、ラウルが敵へ向かって剣を構える。にじり寄るような時間もない速攻に恐れをなしたのは敵だ。混乱が充分にきいている。  地下へと降りる階段にも、数人がひしめくように登ってきていた。それを先頭で斬り倒していたゼロスに押され、敵は徐々に数を減らしている。 「ゼロスだけずるいの~」 「レイバン!」  まるで軽業師。ゼロスの肩を踏み台にしたレイバンがこれから上って来ようという敵の上へと落ちて、あっという間に斬り倒していく。派手な戦闘に楽しげな笑みを見せるレイバンもまた、ここ最近のストレスをぶちまけているようだった。 「行ってこい、ランバート。ここから下には誰も行かせない」 「ということで、救出よろしく~」 「できれば早く頼むなー」     
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