神子姫の願い

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 ゼロス、レイバン、チェスターが手を振る。その横を通り抜けて、ランバート、チェルル、クリフ、ドゥーガルド、ラダは地下三階へと降りていった。  地下三階は、とても静かだった。ここにはあまり人はいないのだと言う。あるのはたった一つの牢だけ。その牢の中に、その人はいた。  すっきりとショートにされた白髪は、エルの証し。瞳は薄い菫を思わせる紫色。色白で、儚げな印象を受ける綺麗な人は、ラダとチェルルを見て目を見開き、次には嬉しそうに瞳を和らげた。 「アルブレヒト様!!」 「チェルル、本当に貴方なのですね」  鍵を開けたチェルルが側へと駆け寄る。ベッドに腰を下ろしたアルブレヒトの膝元に縋り付いたチェルルは隠す事なく子供みたいに泣いた。その黒髪を梳くように、アルブレヒトは慈愛の表情を見せていた。 「よかった、無事で。顔色もいいですね」 「ごめ、なさい……俺が無茶して、アルブレヒト様を苦しめ……」 「良いのですよ。私がしたくてしたのです。貴方達が大切だから、した事ですよ」  この様子を見ていた帝国の面々は、動けなかった。  まるで尊い一枚の絵画だ。慈悲を与える神子に縋る子の上に、光が差すように見える。美しく、儚い。そんな一場面を見せられているようだ。  紫色の瞳が不意に上がり、ランバートを見る。艶も感じる瞳が和らぎ、とても自然な笑みが見える。     
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