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「知らない。そういう場所はもっと上が『禁忌』にして近づかせないようにしているし、それを疑う神父達じゃない」
そうなれば教会に潜む事は無駄になる。素早いメンバーで森をしらみつぶしに探す事になるが、狙い撃ちできないうえに禁忌の場所に踏み入るとなれば目立つ。こちらが来た事を知って手を打たれるのはまずい。
「ただし」と、フリュウが勿体ぶった笑みを浮かべる。こういう部分はチェルルにも似ている。髪や瞳の色が同じだからだろうか。
「教会の中に、神父のふりした護衛が紛れている事はある」
「それはなんでだい?」
「教会に救いを求めてやってくる奴を吟味して攫うのさ。目的は強姦。服装は神父だけど、中身はゲスな用心棒みたいなもんだから教育もされてない。それに神父の格好してると信用あるしね。襲って強姦して殺す奴もいるし、中古商品として売る奴もいる」
「サイッッテイ!!」
「この国じゃ、貧乏がそのまま生き方さ。だからこそ、チェルル達は俺達の希望だった。アルブレヒト様の世なら、貧乏から抜け出す機会があるかもしれない。奴隷みたいな生き方をしないかもしれない。そう思っていたから、国民の悲しみは深かったよ」
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