神の家に巣くうモノ

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 神父は四十代らしいのだが、見た目では五十代にも見えた。痩せて顔色も良くはないが、ニコニコと笑っている。それが少し痛々しかった。 「ふぅ、とりあえず潜入成功かな」  用意してくれた湯に布を浸し、足や汚れを落としていく。ベッドは一つだが大きさはそれなりにあった。  美女になったランバートの隣りに座ったラウルがクスクス笑ってランバートを見ている。それが少しいたたまれない。 「ラウル」 「だって、似合い過ぎ。ランバート、本当に綺麗だよ」 「あのな……」 「ファウスト様が見たら、どんな顔するかな?」 「恐ろしいものを刺激するから嫌だ」  ラウルの足も綺麗にしてやり、足を湯に浸す。程よい湯加減でとても心地よく感じた。 「ランプ、窓際に置いておくよ」 「頼む」  ラウルが窓際に室内にあるランプを置く。奴等が動くとすれば人目のなくなる夜だろう。窓際に置いたランプの明かりを目印に、滞在している部屋を他のメンバーに知らせる手はずになっている。 「それにしても、あの神父さんは本当に善人そうだったね」 「でも、知ってはいそうだ」  二人が駆け込んだ時、神父は顔色をなくした。だから感じたのだ、あの神父はこの国で若い女性や子供が奴隷のように扱われているのを知っているのではないか。  関わっていなくても、詳しい事は何もわからなくても、疑っているのではないかと。     
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