金色の狼(ラダ)

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金色の狼(ラダ)

 地下室は少しだけ静かになった。昨日出て行った護衛が戻らないから、上が少し騒がしい。それでもラダはなにひとつ心を痛めない。ルジェールというダークブラウンの髪の男はよく、アルブレヒトを殴った。マルコフは見て見ぬふりをした。二人とも嫌いだ。 「アルブレヒト様」  食事から一時間程度がたち、彼は穏やかな息で眠っている。顔色もいくぶん良くなり、熱は下がりだした。そして、少しずつでも食事を食べるようになった。  そっと近づいたラダは寄り添うようにベッドに座り、柔らかな唇に自らの唇を重ねた。とても淡い恋心と同じように。  途端、体の力が抜けていく。一瞬意識が遠のきそうになって踏ん張った。 「……っ」  体が熱いのは興奮からではなく、純粋に熱があった。顔色は僅かに青くなっていく。息がなかなか整わず、ベッドの下にペタンと座り込んでしまった。  神は言った、弱っているのは体以上に魂だと。命でのみ、補えると。  ならばこの人を陵辱し、貪った奴等から奪えばいい。相応の報いだと思った。けれど、神はもっと違う事を言った。  この者を愛し、この者に愛され、心を許した者でなければ受け付けない。     
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